6/19-6/30▷構想計画所|Weathering Project

2024年6月19日(水)~6月30日(日)
12:00~19:00 日曜は17:00まで 月・火休廊

それは、単なる物質的な風化だけではなく、心(記憶)の風化を象っているのかもしれない。

2021年から毎年gallery fuで新作を発表し続けているコレクティブ「構想計画所」は、一貫して、プロジェクトの構成要素として「花崗岩とその風化物とされる真砂土」を用いてきました。4回目となる本展「Weathering Project」もまた同様です。
彼らは風化を単に物質的な現象としてのみ扱っているようにも思われます。そこでは、石という一見堅牢で、私たち人間に「永遠」をすら思わせる物質が、実は絶え間ない変化のいち様態でしかないことを伝え知らせています。
しかしどうでしょう、花崗岩という物質はさまざまなモニュメントに使用されてきた素材でもあります。そう考えると、その風化を人間の記憶の問題、すなわち私たち人間の集団的な記憶の風化の問題として読み込み直すことはできないでしょうか。永続的な記憶の伝承を願って過去に制作されたモニュメントが、さまざまな理由で、物理的な風化を待たず破壊されたり撤去されてきたことに思いを巡らせます。物質的な風化よりも早い速度で遂行される記憶の風化=忘却の背後には何が存在しているのでしょうか? もしかすると構想計画所は人間が個人的、あるいは集団的な思いを物質に託すこと自体を問題にしているのかもしれません。
公開を前提にしながら、保存や修復を想起させる工事用の足場で組まれたガラスケースに並ぶ「風化が織り込まれた彫刻」に、私たちはそれぞれ何を読み取るのでしょう?

構想計画所
構想計画所は美術家・前野智彦が所長を務める「複数で形成された単数の緩やかな纏まり」=活動体で、構成員はプロジェクトごとに複数の表現者で組織される。また、各プロジェクトとゆるやかに関連するレクチャーやシンポジウム等を並行して多数企画している。
主な個展
2024年「Weathering Project」gallery fu/神奈川
2023年「Weathering」gallery fu/神奈川
2022年「月の台座ー島の定義から外れた岩礁の形象ー」gallery fu/神奈川
2021年「別名保存」gallery fu/神奈川
2021年「想像力の転回」Plaza Gallery/東京
2018年「想像力の転回」GALLERY HASHIMOTO/東京
2016 年「離人/島 ―人間よりも前から来る、あるいはその後へと向かうもの―」gallery COEXIST – TOKYO /東京
2014 年「Holt―雑木林を巡る哲学と美術と出来事―」小平中央公園脇の雑木林/東京《小部屋のある32m の破線》
主なグループ展
2024年 構想計画所、古田裕、三田健志「TRACE,TRANSFER,TAKE A PICTURE」gallery fu/神奈川
2023年「第4回小砂環境芸術祭 KEAT 2023」栃木県那珂川町小砂地区
2017年 「引込線2017」旧所沢市立第2学校給食センター/埼玉
2017年 「Green Cube Project」
2015年 「第18回岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館 /神奈川「Ω」
2013 年「Impact 8 ― International Printmaking Conference」Duncan of Jordanstone College of Art & Design /イギリス