7/5-7/16▷構想計画所|Weathering
2023年7月5日(水)〜 7月16日(日)
12:00~19:00、日曜17:00まで 月・火休廊
かろうじて自分を保つ危うさを花崗岩という岩に重ねる
gallery fuでは、7月5日(水)から7月16日(日)まで構想計画所「Weathering」を開催します。
前野智彦が所長を務める構想計画所は、人間を中心に考えると整合性が取りにくいこの世界を、人間特有の営みである芸術というフィールドから捉え直そうとする活動体です。gallery fuにおいては2021年「別名保存」、2022年「月の台座 − 島の定義から外れた岩礁の形象−」に続く展覧会となります。
本展覧会のタイトル「Weathering」は日本語では「風化」と訳すことができます。構想計画所は以前から“花崗岩”に着目し、気候変動をはじめとする自然界の状況と複合的に関係することで発生する個体の変容(風化)と細胞を入れ換えるように日々更新されていく人間とを重ね、作品制作を行ってきました。マグマが冷えて固まってできとされる花崗岩は結晶粒子が大きく、構成要素の鉱物の種類によって結晶の熱膨張率が異なります。そのため極端な温度変化の下では鉱物の境界線部分の結合が弱まり、次第にひび割れていきます。崩れた白から黄土色の粗い砂は、真砂土、あるいは単に真砂と外観だけではなく、その呼び名も変わっていきます。砕けた岩一塊づつをさまざまな手法を用い固めていく様は、老化に争う人間の営みを想起させるでしょう。
gallery fuにおいて3回目の展覧会となる構想計画所の新作「Weatharing」、さらなる深化にご期待ください。
gallery fu
代表 鈴木智惠
ステートメント
花崗岩とその風化物とされるマサ・真砂土を1つの纏まりへと彫刻する行為。風化が織り込まれた纏まりは常に未完成で、終わらない変形(解体と結合作業)、あるいは倒錯的な修復作業の只中に在り続ける。質量あるものの自然なベクトルを受け入れるように、逆にそれに抗うように、時にアクシデントを折り込み、時に細胞を入れ換えるかのように更新されていく1つの纏まりへの永続的な応答。その構成要素には、クロマキー合成に用いられる色彩が組み込まれ、変形(解体と結合、あるいは倒錯的な修復作業)が質量のない「何ものか」を織り込むよう準備が施されている。それは「風化=自然なベクトル」の外部へのアクセスへの可能性であり、同時に未解決のまま投げ出した保留の痕跡でもある。言うまでもなく関わりを放棄すれば質量のあるものは、いずれ崩壊し、纏まりであったことを忘却するだろう。
関わり続けることで、乱雑・無秩序・複雑に向う纏まりは、社会的に主体化された人間が抱く理性や感情、情動とは究極的には無関係であるかのような一つの対象物であるだろう。そう、風化を記憶の問題へと転移させ、風化=忘却が一つの力であることへと思い巡らせること、常に質量と共にあり続けるような意思に依らない想像力。それは人間か棲まうこの大地へと繋がる想像力であり、その対象であるこの1つの纏まりは人間がこの世界に『棲まう』ことを可能にする条件への絶望を伴いかねない応答可能性を示しているだろう。
構想計画所
主な個展
2022年「月の台座ー島の定義から外れた岩礁の形象ー」gallery fu/神奈川
2021年「別名保存」gallery fu/神奈川
2021年「想像力の転回」Plaza Gallery/東京
2018年「想像力の転回」GALLERY HASHIMOTO/東京
2016 年「離人/島 ―人間よりも前から来る、あるいはその後へと向かうもの―」gallery COEXIST – TOKYO /東京
2014 年「Holt―雑木林を巡る哲学と美術と出来事―」小平中央公園脇の雑木林/東京《小部屋のある32m の破線》
主なグループ展
2023年「第4回小砂環境芸術祭 KEAT 2023」栃木県那珂川町小砂地区
2017年 「引込線2017」旧所沢市立第2学校給食センター/埼玉
2017年 「Green Cube Project」
2015年 「第18回岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館 /神奈川「Ω」
2013 年「Impact 8 ― International Printmaking Conference」Duncan of Jordanstone College of Art & Design /イギリス