高橋健人・タカモリユウスケ 二人展|Shadows

2025年11月12日(水)~11月23日(日)
12:00~19:00 日曜は17:00まで 月・火休廊

日本の美意識を探る — Shadows


人体-1|高橋健人


風景|タカモリユウスケ

gallery fuでは、11月12日(水)から11月23日(日)まで、「高橋健人・タカモリユウスケ二人展|Shadows」を開催いたします。高橋健人とタカモリユウスケは共に東京藝術大学大学院日本画研究領域に進み、現在はそれぞれ日本画の探究を深めています。
本展のタイトル「Shadows」が示すのは、単なる「暗さ」ではなく、光の気配がかすかに漂う薄明の領域 です。谷崎潤一郎『陰翳礼讃』に描かれる障子越しの光や蝋燭の灯、漆黒の器や金箔の反射など──強い光の下では失われてしまう美しさが、陰翳の中でこそ深みを帯びて立ち現れる。そこには、日本人が古来より育んできた美意識が息づいています。

以下は、今回の展覧会に寄せた両作家によるステートメントです。
「絶え間なく光に満たされた空間の中で、私たちは“見えること”を当然のものとして受け入れがちです。しかし、その背後に生まれる影には、見落としてきた現実や感覚が潜んでいます。
二人の作家は、過剰な光の中に埋もれた影に目を向け、“見ること”と“見えないこと”のあわいを絵画を通して探っています。」

「Shadows」は、日本画の系譜を背景に、現代の視覚環境に再び陰翳の価値を問い直します。どうか会場にて、光と影のあいだに開かれる幽遠な世界をご堪能ください。
gallery fu代表 鈴木智惠

高橋健人/TAKAHASHI Kento
二人展によせて
日本的な感覚と自分の感覚、現代人の感覚を照らし合わせ、今でも日本的な美意識は共感として通用するのかを体感したい。その代表の一つとして陰翳礼讃をもとに、暗がりとその中での光を意識した制作をする。自分としては羊羹や人形の胴体のような空洞的な濃い闇が良いと思っている。それなりの暗さの中で見る作品として、箔や雲母を使用した作品を作る。

1999年 神奈川県横浜生まれ
2019年 東京藝術大学 美術学部絵画科日本画専攻入学
2023年 東京藝術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
2023年 東京藝術大学大学院日本画研究領域第二研究室入学
2025年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍
主な活動
2025年 素描展・東京芸大陳列館
2025年 三人展「Another view」gallery ART HOUSE/東京
2025年 東京藝術大学大学院日本画研究領域第二研究室修了
2025年 東京藝術大学卒業・修了作品展
2024年「素描展」東京芸大陳列館/東京
2024年 個展「unknown space」gallery fu/神奈川
2023年「gift from….to….」gallery fu/神奈川
2023年「素描展」東京芸大陳列館/東京
2023年 グループ展「LOVE art PEASE」gallery fu/神奈川
2023年 東京藝術大学卒業作品展
2022年「芸大アートプラザ大賞展」東京藝術大学/東京
2022年 「第40回上野の森美術館大賞展」上野の森美術館/東京
その他
2022年 長唄舞台背景制作 渋谷区文化総合センター大和田/東京

タカモリユウスケ/TAKAMORI Yusuke
二人展によせて
影について、光が届かず、明度の差が弱まった曖昧な領域だと考えている。
そこでは境界がにじみ、かたちの輪郭は弱まる。その不確かさに、むしろ心地よさを感じる。
不確かさの中の揺らぎや余地に対して、自身のもつ視覚的なイメージに重なるからだろうか。
制作においても、曖昧さや余白をそのまま保ちながら絵画を成立させることを試みている。
明確に描くことと、あえて言い切らないこと、その矛盾のあいだに、かすかな均衡を見いだしたい。
光と影や確かさと曖昧さの、そのあわいに、絵が立ち現れる事を期待している。

2000年 福岡県生まれ
2025年 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科日本画第二研究室 在籍
主な活動
2025年 個展「余白の所在」Galerie Petit Bonheu/東京
2021年 グループ展「tetrapoda」Gallery美の舎/東京
2019年「日本画一年四人展」江戸端会議室/東京