11/6-11/17▷VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス)#3

2024年11月6日(水)〜11月17日(日)
12:00~19:00、日曜17:00まで 月・火休廊
アーティストトーク(入場無料、ご予約不要)
2023年11月9日(土)17:00~18:00

アイデンティティの正体

VIKI ドローイング 2024年
坂間真実 映像作品《幽霊たち》 2024

gallery fuでは、11月6日(水)-11月17日(日)まで「VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス) #3」を開催いたします。
そもそもアイデンティティなどあるのか、という疑問から始まったこのシリーズは、VIKIと坂間真実が、変幻自在に変容する人物“Xenos”(ギリシャ語で「変わった、稀な、よそ者」という意味)を介して現代のアイデンティティを探っていきます。“Xenos #1”(2022年11月)では、「自分の視点から見た多面的な自分」という主観をもとに考察、“Xenos #2”(2023年9月)では「他者の目を意識した自分」という、客観的な態度を重視し、アイデンティティを考えました。
そして、本展覧会においてVIKIは、アイデンティティとは錯覚である、とします。「自己形成の最も大きな要因を握るのは環境である」とし、「その結果生まれた痕跡を人は信念と信じる、だがそれは錯覚である」というのです。でも人は「たとえそれが錯覚だとしても、自分が生み出したアイデンティティだと信じたいのだ」。
坂間真実は、アイデンティティを幽霊にたとえます。それは、「はっきりとした実態はないのに、確かにあるような気になってしまう幻影のようなものかもしれない」といいます。
私たちには、揺るぎないもの、何があっても変わらないものなどないのかもしれない。でも揺るぎないもの、何があっても変わらないものがあればいい思うのも人間なのでしょう。ふたりの作品から、アイデンティティという呪縛から離れ、まだ見ぬ自分と出会いたい、と私は思うのでした。でも、それはちょっと怖いですが。
gallery fu代表 鈴木智惠


VIKIステートメント
環境に順応した痕跡が己を形成する

「君って甘いもの好きだったよね?」と、手土産を片手によく言われることがある。実際には甘いものが特に好きだと言ったことも思ったこともなかったが、今では「僕、甘いもの好きなんですよ」と、たまに言うことがある。どうやら己が何者であるかは環境の産物らしい。
先日、久しぶりに故郷に戻った時のことである。昔よく歩いた道を散策したのだが、所々空き地になっていた。毎日歩いたどこか安心する景色が見えるはずだった。しかし、その空き地の景色にどのような建物があったのか、思い出せないのである。親に尋ねると、「歯医者じゃなかったか?」と言う。僕はそんな記憶を持っていなかったのだが、ふとした瞬間に「ああ、歯医者だったかも」と記憶を上書きしようとするのだ。“ どのような建物があったのか思い出せない自分 ” ではなく “ あの場所には歯医者があったのだと知っている自分 ” になろうとしているのだ。このような錯覚の集合体が自分自身、つまりアイデンティティなのではないか。錯覚に陥った記憶は、いつしか己が信じる記憶として痕跡を残す。そして、そうありたいのだという願望に変わる。その願望が信念となり、自分は何者かである、と勘違いさせているのかもしれない。おそらく僕は、環境に適応してしまった己から目を背けたいのである。
アイデンティティとは環境に順応した結果生まれる錯覚である。肯定したい過去を通して未来に願望を抱き、その痕跡が信念へと変わる。たとえその信念が錯覚から生まれたものであっても、自分が生み出したアイデンティティなのだと信じたいのだ。

VIKI/ヴィキ
2022年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
日常的で記憶に残らないような時間や消費行動を「時間のささくれ」とし、情報社会に生きる自身と他者との関わりや「個」としての在り方など、時間に纏わる言語を考察しながら制作をしている。
日本全国からレシートを集め、2015年からアイロンとレシートを使ったライブアートパフォーマンスを開始。熱を与えると変色する感熱紙の特徴を生かし、熱でドローイングする。ほか、壁画、油画、インスタレーション、グラフィックデザインなど、活動は多岐にわたる。
Exhibition(抜粋)
2024年「Tagboat Art Fair2022」(東京都立産業貿易センター浜松町館/東京)
2024年 現代アート展〜新進気鋭の日本作家たち〜(京王百貨店/東京)
2024年 個展「mirrorge」(ギャラリー自由が丘/東京)
2024年「100人10 2023/24」(渋谷キャスト/東京)
2024年 GREEN Holiday アップサイクルアートイベント(Hisaya-odori Park/愛知)
2023年 gallery fu10周年記念企画展「LOVE+art+PEACE」(gallery fu/神奈川)
2023年「tagboat Art Fair2023」( 東京都立産業貿易センター/東京 )
2023年「Second skin」(ギャラリー自由が丘/東京 )
2022年「特別展|gift from….to….」(gallery fu/神奈川)
2022年「VIKI×坂間真実|Xenos」(gallery fu/神奈川)
2022年「The Prize Show!~What’s 藝大?~」(藝大アートプラザ/東京)
2022年「Art Fair GINZA tagboat×MITSUKOSHI」(銀座三越/東京)
2022年「愛と狂気のマーケット」(ラフォーレ原宿/東京)
2022年 個展「Face of Face」(gallery fu/神奈川)
2022年「エピソードONE 次世代アーティスト16人展vol.1」(阪急うめだ本店/大阪)
2022年「Unconsious Mirror」(ギャラリー自由が丘/東京)
2022年「アートフェア東京2022」(東京国際フォーラム/東京)
2022年「Tagboat Art Fair2022」(東京都立産業貿易センター浜松町館/東京)
2022年「TAGBOAT ART SHOW × 阪急 MEN’S TOKYO」(tagboat ギャラリー/東京)
2022年「第70回 東京藝大卒業・修了作品展」(東京都美術館/東京)
2021年 個展「change the scape」(CROSS OVER神楽坂-cafe&gallery-/東京)
2021年 グループ展「特別展|gift from….. to…..」(gallery fu/神奈川)
2021年「A56 SHIBUYA STYLE vol.15」(渋谷オルタナティブスペース/東京)
2021年 個展「この人、さがしてます。」(ギャラリー自由が丘/東京)
2021年「TAGBOAT ART FAIR」(東京都立産業貿易センター浜松町館/東京)
2021年 個展「#君って、、、」(TAKU SOMETANI GALLERY/東京)
2020年「TAGBOAT ART SHOW」(東京都立産業貿易センター浜松町館/東京)
2020年 グループ展「特別展|gift from….. to…..」(gallery fu/神奈川)
2020年「100人10」(馬喰町ログズビル/東京)
2020年 個展「Narrative Fragments もうひとつのあなたと、わたしと、せかい」 (ギャラリー自由が丘/東京)
2020年「第14回藝大アートプラザ大賞展」準大賞受賞(藝大アートプラザ/東京)
2020年「三菱商事アート・ゲート・プログラム2020年度奨学金制度奨学生作品展」 (MC FOREST・ROUTE CAFE AND THINGS/東京)
2020年「ターナーアワード2019」入選(ターナーギャラリー/東京)
Award
「第14回藝大アートプラザ大賞」準大賞
「コミテコルベールアワード2019」入賞
「IndependentTokyo2019」染谷琢 賞
「アートオリンピア 2019」学生部門入選「UNKNOWN/ASIA2018」 曽根 裕 賞
Media
MBS毎日放送「20秒後に買いたくなるアート」¥2,400,000落札
TBS「アッコにおまかせ!」
日本テレビ「ヒルナンデス!」
読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」
フジテレビ 「Live News α」
TOKYO MXテレビ「バラいろダンディ」
日本テレビ「地球にいいこと学ぼうSP」「凄技クラフトマン」
読売テレビ「もったいないオバケちゃん」
日本テレビ「スゴ動画超人GP」
日本テレビ「世界まる見え!世界特捜部」
日本テレビ「nextクリエイターズ」#19
NHK Eテレ「Rの法則」
BS11「日本創造紀行 和ーティスト」
日本テレビ 「ぶらり途中下車の旅」
NHK Eテレ「シャキーン!」
日本テレビ「デザイン・コード」#165
COCOA出版「FA-magazinevo.57」
国際紙パルプ商事「TSUNAGUvol.34」
「Japan Times」インタビュー

VIKI公式オンラインショップ開設、他、バンド、舞台等のロゴ、フライヤー、CDジャケットデザインetc.
その他、ファッションショー、音楽イベント多数出演
VIKI公式オンラインショップはこちら→VIKI
websiteはこちら→Viablekids.


坂間真実ステートメント
夏、銀座で幽霊をテーマにした歌舞伎を見ました。
そこで 主人公は幽霊と化け物の違いについて説明しました。

それはたしか、化け物と幽霊は違う、
化け物は姿が見えるが、幽霊は姿を表さない、
なぜなら幽霊は、人々の記憶の中で存在しているからだ。
という話でした。
劇中では、死んだ登場人物はその後、決して姿を現さず、
舞台表現としては、過去のシーンなどで登場しても良いものかと思いましたが、
徹底して姿を表さなかったのです。

姿はないけれど、他人の会話を通してのみ自分が存在している。
私は この舞台での幽霊の表現が面白いと思いました。

ポール・オースターの小説「幽霊たち」では、
主人公の探偵の男がある男を見張るストーリーでした。
実は見張っている男は、「もう一人の自分」で、
だけどここにいる自分も確かに存在していて…という
私が私であるとはどういうことなのか、
自分のアイデンティティがわからなくなる話でした。

「我々は我々の真の居場所にはいない、我々は偽りの場にいる。
人間としての本来的な弱さゆえ、
我々は檻を夢想し、自分をその中に閉じ込める。
したがって我々は同時に二つの檻の中にいるのであり、
そこから抜け出すのも二重に難しい」
(「幽霊たち」ポール・オースター/著 、柴田元幸/訳)

アイデンティティと幽霊。
はっきりとした形はなく、
だけど 確かにあるような気もする。
アイデンティティとは、「ある」と思い込んで人々が見る
幽霊という幻影なのかもしれません。

坂間真実/SAKAMA mami
2007年 東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修了
映像や写真から切り取られた小さな紙片を幾重にも貼り合わせ、新印象派のような粒子の世界を表現するコラージュを制作。
インタビューや身体表現を記録する映像作家としても活動。
個展
2021年 「ビデオ・レター」(gallery fu/神奈川)
グループ展
2024年「WHITEOUT」(gallery fu/神奈川)
2023年「VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス)#2」(gallery fu/神奈川)
2023年 「機械じかけのコウノトリはゲノムの海を渡る」(gallery fu/神奈川)
2022年「VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス)」(gallery fu/神奈川)
2022年「MOTHER機械じかけのコウノトリ」(gallery fu/神奈川)
2021年「MOTHER 私たちはどこからどこから来たのですか?私たちは誰ですか?私達はどこに行くの?」(gallery fu/神奈川)
2020年「STILL LIFE/印象、寝室」(SICF21・スパイラルホール/東京)
2019年 「ART BOOK/ART GOODS」(BankARTStation/神奈川)
2019年「SICF20」(スパイラルホール/東京)
2019年「mother 平成の聖母子像」(gallery fu/神奈川)
受賞歴
2013年 第87回装苑賞 入選
2012年 第15回岡本太郎現代芸術賞 特別賞
websiteはこちら→SAKAMA MAMI ART WORKS