9/25-10/6▷のえのん|ミクロ微粒子のドーナツ

2024年9月25日(水)〜10月6日(日)
12:00~19:00 日曜日17:00まで 月・火休廊

針が触れて音が響く。ミクロな凹凸が小さな音を変容させる・・・


gallery fuでは、9月25日(水)から10月6日(日)まで「のえのん|ミクロ微粒子のドーナツ」を開催いたします。のえのんは、11歳からYouTube(のえのん)を始め、SNSを通じてクリエイティブな活動を続けてきました。2022年には多摩美術大学に入学し、絵画や彫刻、音楽、映像作品など、多様な手法と素材を用いて表現活動を展開しています。
本展覧会では、日常に溢れる音――作られた音(音楽)、自然の音、生活音など――に焦点を当て、それらの音をビジュアルと同期させることで生まれる微細なニュアンスを体感していただきます。
作品《拡張ソングミュージック》(仮)は、レコードショップやリサイクルショップで「ジャンクレコード」として扱われるレコード盤に絵の具を塗り付けたり削ったりして彫刻し、その盤に針を落として音楽を再生します。これにより、原盤とは異なるビジュアルと音のコラボレーションが生まれます。また、作品《山手線内回り用ノイズキャンセリング》(仮)は、日常の音と、それを聞かせるイヤホンを組み合わせ、従来の物事の捉え方や道具の使い方から逸脱した世界を提示します。
作品から発せられる微弱な音や、目に見えない音は、空気の振動となって私たちの体内に浸透します。それはまるで、自分自身の体内が彫刻されているかのような感覚かもしれません。これらの感覚は、私たちが音や音楽と接するときに無意識に行っている編集行為――たとえば勝手に省略したり、自分に都合の良いように解釈したりすること――を実感させてくれるでしょう。
のえのんが創り出す音の世界は、セオリーやマーケティングに縛られたものではありません。未体験のゾーンに没入し、作品に触れたときに生じる微かなズレや違和感を、ぜひ体内に刻み込んでいただければ幸いです。
gallery fu
代表 鈴木智惠


のえのん Self liner notes

《拡張ソングミュージック》(仮)
レコード アクリル絵具 H300 × W300mm 2024.9

音が鳴ると空気が振動し波となって耳に伝わる。
この振動(波)を記録し再生できるようにしたものがレコードだ。
レコードには音溝と呼ばれる溝が掘られてる。この溝にレコード針が触れると溝の形状に合わせて針が小さく動く。レコードプレイヤーについている針は、左右に動くことでレコードの溝を正確に読み取る。こうして、「音」が再生されるのだ。レコードの溝に傷や埃がたまるとノイズとして雑音になる。
この現象を経験した私は、小さなノイズによって新たな音楽が生まれたと考えた。普段作曲している私は、音階のある、意識的に鳴らすことができる楽器を用いて制作している。よって自分自身が予想できる音楽を制作しているのだ。レコードに記録された音楽も同様だ。そこで、レコードの溝を操作し、新たな楽器として自分自身も予知できない全く新しい楽曲制作を試みた。

《山手線内回り用ノイズキャンセリング》(仮)
MP3 1時間5分 2024.9

公共の場や様々な音が飛び交う街の中で自分自身が繊細に音を視聴する道具としてイヤホンを用いている。持ち運びを想定されたフォルムは私たちの身体にフィットし、イヤホンが体の一部になる。イヤホンには L と R があり2つの音を組み分け別々に装着することによって音の奥行きを感じ、中心を視聴している。私は、この機能を覆す試みだ。ボリュームを大きくすることによってイヤホンから音がこちらに漏れ出してくる。漏れた音は、耳に装着することを想定された商品のため、ボリュームに制限がありかすかにしか聞こえない。そのかすかな音には、装着している時に感じられない焦らしさがある。
R と L の二つを上からなぞるように自分自身の体を動かし音を聞くことで、イヤホン本来の機能を奪われたまた新たな体験が出来るだろう。

のえのん/NOENON
2003年 東京生まれ。
2022年 多摩美術大学 入学
2024年 多摩美術大学 在学中

主な個展
2021年「CUBE」箱根湯本ホテル 神奈川
主なグループ展
2023年「特別展| gift from…to…」gallery fu/横浜
2023年「TUB」東京ミッドタウン 52F/港区

WEBサイト→NOENON