10/22-11/2▷大森博之|十月の椿
2025年10月22日(水)~11月2日(日)
12:00~19:00 日曜は17:00まで 月・火休廊
gallery fuでは、10月22日(水)から11月2日(日)まで「大森 博之|十月の椿」を開催します。
大森博之は、栃木県立美術館、平塚市美術館などの美術館を始め、東京のギャラリーを中心に活動している美術家です。gallery fuでは2020年に個展「彫刻の肉欲/眠れる美女」を、昨年10月には、大森博之・伊東明日香二人展「十月の椿」を開催しました。今年は個展「大森 博之|十月の椿」として真のエロティシズムを追求します。
大森は、春画やポルノグラフィーは、とても人間的だという。いやらしくてエロティックは人間の本性であり、非日常のように見えても実は日常であると。いやらしくないのにエロティックを感じることは非日常であり、それこそが芸術の領域であるとする。そして、本展覧会ではその非日常のエロティシズムを追求する。
彼が着目するのは、内と外(凹凸)の構造である。本展覧会のメインビジュアルで使用した作品《更衣の規則 傷を舐めること》は、まず粘土で形を作り→その外側を石膏どりし→中の粘土を掻き出し、さらに石膏を流す、という雄型と雌型の組み合わせで出来上がった作品である。その表面に蜜蝋を流すことで、組み合わせで現れた表面が崩れ落ちていくような感覚になる。
人間で言えば、皮膚一枚を隔てた内と外、自分の内側に感じる感覚と皮膚の外側に存在する感覚に対し、彼の研ぎ澄まされた想像力を働かせ混在化させる。越えようとしても超えられない目に見えない薄い膜のような境界が破れ、決壊したとき、真のエロティシズムが表れるのかも知れない、そんなことを感じる。
gallery fu代表 鈴木智惠
展覧会によせて
更衣の規則 美術のエロティシズム
齢を取ったからなのか、ルノワールとかマイヨールあるいはルーベンスの豊満な裸婦を見ると心地よい。胸ではなく、どちらかというと尻。豊満な尻ほど官能をくすぐるものはない。
・・・・中略・・・・・
見ることで触りたい欲望が生まれる。その前に見えないから見たい。なるほど、それでは見えて触れたら欲望は消えるか。生身のお尻ならば、さらなる欲望も溢れてこようが、美術作品は妄想を生むかもしれぬが、性欲は消える。大理石のビーナスの尻を触ってみよ。ひんやり冷たくて固い、大理石という物質がそこに在る。ルーベンスのお尻だって、ワニス(ニス)で保護された画布である。
欲望、性欲と言ってもよいが、それが美術媒体(作品)に直に接触すると一瞬のうちに消える、そしてひんやりとした現実に、何かが取り残される。接触するまでは主役は眼、視覚が想像力であった。接触した瞬間、触覚がその想像力を切断する。物質の現実と視覚の想像の間に、残された余韻。それは美術媒体特有の官能なのではないか。じつはわたしは、そこに魂をふるわせる。官能のイデアを感じるからである。
大森博之
大森博之/OMORI Hiroyuki_Profile
1954年 栃木県生まれ
1979年 筑波大学大学院修士課程芸術研究科彫塑専攻修了
個展
2024年「大森博之展 ─背後の手前─」artspace & cafe/栃木
2023年「大森博之展ー断片しか残らない」+Y Gallery/大阪
2023年 Gallery惺SATORU/東京
2020年「彫刻の肉欲/眠れる美女」gallery fu/神奈川
2017年 +Y Gallery/大阪
2004年 鶴見画廊/神奈川
1997年 JAZZオーネット/足利・栃木
1997年 SPACE・U/館林・千葉
1994年 95年、96年、ギャラリー手/東京
1991年 ギャラリーMIU/神奈川
1990年 91年、93年、98年、2000年、03年、06年、09年、11年、14年、16年 なびす画廊/東京
1989年 コバヤシ画廊/東京
1984年 ギャラリートランスフォーム/東京
1983年 84年、85年、86年、89年 ルナミ画廊/東京
1983年 駒井画廊/東京
1980年 81年、82年 楡の木画廊/東京
2014年「版画天国II」なびす画廊/東京
二人展・グループ展
2024年「大森博之 x 玉征夫 展」SPC/東京
2024年「大森博之・伊藤明日香|十月の椿」gallery fu/神奈川
2021年「次元往来記」Ga「-彫刻とデッサン展 橋本平八から現代の彫刻家まで」平塚市美術館/神奈川、足利市立美術館/栃木、碧南市藤井達吉現代美術館/愛知、町立久万美術館/愛媛
2019年「スサノヲの予感」Gallery TOM/東京
2018年「Art in Park Hotel Tokyo 2019」パークホテル東京/東京
2018年「13人の油絵」+Y Gallery/大阪
2018年「Art in Park Hotel Tokyo 2018 」パークホテル東京/東京
2017年「ART NAGOYA 2017」ウェスティンナゴヤ キャッスル/愛知
2016年「80’s展 享楽と根源」+Y Gallery/大阪
2013年「版画天国」なびす画廊/東京
2012年「光あれ!-光と闇の表現者たち」栃木県立美術館/栃木
2009年「『ミュージアムズ・チョイス この一点』コレクション展Ⅲ」栃木県立美術館/栃木
2009年「DE MYSTICA第2回展 -”アート”全盛期における”美術”-」なびす画廊/東京
2008年「DE MYSTICA~召命~」ギャラリーアート・ポイント/東京
2008年「ラディカル・クロップス プレ展」exhibit Live&Moris/東京
2007年「プライマリー・フィールド美術の現在 -七つの<場>との対話」神奈川県立近代美術館・葉山/神奈川
2006年「大森博之+橋本倫 2人展」鶴見画廊/神奈川
2005年「大森博之+野沢二郎」Takashi Saitoh Gallery/茨城
2005年「2月のおくりもの」なびす画廊/東京
2004年「第19回平行芸術展-彫刻は自分の半身を取り戻す-企画:峯村敏明」小原流会館/東京
2004年「ディスタンス-栃木県出身作家の現在-」栃木県立美術館/栃木
他