2/12-2/16▷写真家・小川淳/いけばな・関口彩 二人展|ありよう
2025年2月12日(水)〜2月16日(日)
12:00~19:00 最終日は17:00まで
屋久島の大自然を捉えた写真と一期一会の花々が織りなす「ありよう」
gallery fuでは、2月12日(水)から2月16日(日)まで、「写真家・小川淳/いけばな・関口彩 二人展|ありよう」を開催いたします。 小川は、タイトルに用いた「ありよう」とは「存在するものの状態」だという。彼は、自分の見た世界の「ありよう」をなるべくそのままの状態、そのままのエネルギーで写真にしたいと考える。屋久島の自然と向き合ったときの感覚を「自分の身体が地球上の自然物からできていて、自然からエネルギーを分けてもらっているのだと感じました。」とし、そこに不要な自意識を介在させないことを心がける。 関口は、花について、その花の「ありよう」はその花だけにしかなく、開き具合、その表情など、そのときのあり方をどういかすかが、いけばなであるという。また、いけ手の「ありよう」がいけばなに映し出されるとも考える。 ふたりの言葉からは、植物を含む自然を人間本位に捉えるのではなく、ありのままの姿を受け入れながら、そこに自身を合わせていく心地よさが感じられる。少し違った角度から自然を見つめることで、新たな自分の「ありよう」を発見できるのかもしれない。
gallery fu代表 鈴木智惠
小川淳/OGAWA Jun 写真家
「森のはじまり」
私にとって、森を歩くことは瞑想と同じです。森の中をひたすら歩いていると、頭の中から無駄な思考が消えてゆき、ただ目に写るもの、自分が存在する空間、そして肉体の感覚だけに意識が集中されてゆきます。そのようにして不要な自意識がなくなった状態で在ることで、屋久島の森という自然生命のエネルギーを写真にする時、自然の存在をありのままに記録できるのではないかと考えました。夏の屋久島の森ではひめしゃらの花が地面にたくさん散らばっていて、一日咲いただけで地面に落ちた花たちは、私にはまだ生きているように思われました。屋久島の樹樹は巨木にまで成長しますが、一方では森の土壌が浅いため、樹木は地中深くまで根を伸ばすことができずに地表に根を張り、あるものは大きな岩を根でがちりと掴んでその幹を支えます。樹齢が千年を超えるような杉の巨木を覆う樹皮からは、杉が生きてきた年月の積み重ねを感じ、岩をも掴む根には樹樹の生き様を感じました。屋久島という島は花崗岩の隆起によってできたといわれていて、宮浦岳などの山岳部では巨岩が山肌に点在して見られます。森の土壌が浅いということを考えた時に、私は山岳部にみられる岩々が、実のところは大きな岩盤の一部が地表に表出したものであるという事に気がつきました。島が一つの大きな岩であり、その大きな岩盤の上に苔が生え、樹木が育ち、森が形成されたのだろうと思っています。 展示作品は、屋久島の森のなかで自分の意識をクリアにして自然とつながり、自然の存在たちから感じとったエネルギーを写真にすべく、屋久島の森や山岳部で2017年から2020年に撮影したものです。
Profile
40代半ばに、自身の外的世界や他人を軸としたそれまでの世界観を、自分軸に変えることを決める。意識の変革を模索する過程で写真と出会い、また、当時初めて訪れた屋久島の森に魅了される。以降、自然と意識の変容をテーマとして、自己の意識の変化の過程で経験する現実世界を写真という媒体を通して記録し表現する活動を行っている。 2020年からは人物の撮影も開始。 自然の存在をよりそのままのエネルギーでフィルムに記録することができるのではないかと考えて、自然を撮影するときはフィルムカメラを使用している。プリント作品は自身で紙焼きをして制作。写真集は、装丁やブックデザインを自身で行なっており、「YAKUSHIMA FOREST」は手縫い製本している。
写真展
2021年「ALIVE」galey fu(横浜)
2020年「自然回帰(Mother Earth)」gallery fu(横浜)
2019年「Mikurajima Dolphin」じゃらんじゃらんPARC(東京)
2018年「屋久島の森/Yakushima Forest」Gallery pont15(京都)
その他グループ展等出品
受賞歴
2024年「Origin」第58回かわさき市美術展
2025年「Mother Earth」第59回かわさき市美術展
写真集
2022年「ALIVE」
2017年「YAKUSHIMA FOREST」
関口彩/SEKIGUCHI Aya 草月流師範
「ありようについて」
いけばなは、その日、そこで出会った花材でいけます。 例えば、そのバラには二度と出会うことはありません。 同じ色、花びらの枚数も同じ、葉の形も同じだとしても、全く同じものはありません。開き合、その表情など、その時のあり方をどういかすか、それがいけばな芸術です。 草月流いけばなでは、「花はいけたら人になる」と言われています。 いけ手のありようがいけばなに反映されます。 どんなに美しい材料を用いても、その花のありようを、いけ手のありようによってダメにすることさえあります。 それは鑑賞者にも伝わることです。 枯れた材料の作品を見て、鑑賞者が「枯れているではないか」とはならず、「年月の経過」や「輪廻転生」などの感情を抱いたとします。それは、いけられた枯れた植物の美しいありようをいけ手がキャッチし、いけ手の人生経験や生き様など、その人のあり方がいけたものに反映され、第3者である鑑賞者に何らかの感情として伝わり、鑑賞者もまた自身のありようと重ね合わせて鑑賞するのです。 植物の内なるエネルギーや自然から生まれた形態美、それに人間の手が加わり、より美しいものが造られる。 バラは、いけ手により〇〇なバラ、〇色の美、そのうち「バラ」という固有名詞はどうでもよくなるほどに変化します。 写真という「時」のありようをそこに閉じ込めた芸術と今この時も刻々と変化していくいけばなの時空の違い、自然のエネルギーを表現する共通点、両者がそこに存在する空間を創りたいと思います。 今回は、屋久島というとてつもなく長い年月をかけて生きてきた自然の中に、今現在今日ここにある生きた植物の立体造形を早春の花材を用いて「自然」「作家」「鑑賞者」など様々なありようを混在させ、調和することによる新たなありようを魅せられたらと思います。
Profile
草月流師範アトリエフロラリー所属
2003年よりいけばな草月流に入門
一級師範
2011年10月より草月いけばな展に毎年出品。
2022年11月よりアトリエフロラリーにてフローリストとしても活動開始。
Dance×IKEBANAのコラホボレーション舞台を展開するなど、パフォーマンスいけばなを中心に活動。
その後、アトリエフロラリーに参画。現在、いけばなだけでなくフローリストとしても活動中。
主な活動
2019年10月 ザセレスティンホテルズ×日本伝統三道ホテル ザ セレスティン銀座にて華道を担当
2019年1月 正月いけばな展@神田明神出品
2017年9月 とらや銀座店喫茶室装花担当
2016年8月 ダンス×いけばな舞台Echo dan la maison @St.Bonnet en Champsaur France
2015年4月 タイ王国大使館第4王女様迎え花担当
2015年1月 元旦フェス@豊洲MAJIC BEACH会場装飾担当
2014年11月 舞台「ハナグラム」花装飾、会場演出担当
2014年1月「DANCE ENTERTAINMENT PARTY WORLD WIDE-WINTER PARTY2014@東京ドームシティーホール」Charisma.com ヘアスタイリング担当
2013年11月 いけばなカーニバル@ニッケコルトンプラザ出品
2013年9月 ミニ音風の世界 朗読×いけばな フリーアナウンサーによる朗読といけばなパフォーマンス
2012年4月 ダンスパフォーマンス舞台 freeline公演いけばなパフォーマーとして出演
2008年7月「DANCE ENTERTAINMENT PARTY WORLD WIDE-SUMMER PARTY2008@品川ステラボール」の会場装飾
舞台の美術担当やいけばなパフォーマーとしての出演、企業祝賀パーティーやウェディングパーティー等装 飾など幅広く活動。