9/6-9/17▷VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス)#2

2023年9月6日(水)〜9月17日(日)
12:00~19:00、日曜17:00まで 月・火休廊
アーティストトーク
2023年9月9日(土)17:00-18:00
参加費:500円

仮の姿と本来の姿

gallery fuでは昨年に引き続き、9月6日(水)から9月17日(日)まで「VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス) #2」を開催いたします。
そもそもアイデンティティなどあるのか、という疑問から始まったこのシリーズは、VIKIと坂間真実が、変幻自在に変容する“Xenos”(ギリシャ語で「変わった、稀な、よそ者」という意味をもつ言葉)という人物を介して現代のアイデンティティを探っていきます。
昨年開催の「11/2-11/13▷VIKI×坂間真実|Xenos(クセノス)」https://galleryfu.com/information/74382/は、「自分の視点から見た自分」という主観を出発点としましたが、今回は、「他者の目を意識した自分」という、自分を「現象」として受け止める客観的な態度を重視しました。
VIKIは、インターネットやAIが主流の現代においてメディアをとおして語られる自分をオリジナルという観点から捉え直します。オリジナルを本来の姿=アイデンティティと解釈した場合に現代のアイデンティティとは「私たちの歴史から作り上げられた複合体なのではないか?」と提起します。
坂間真実は、人々が熱狂する=われを忘れる、という状況に着目しました。アイドルや物事に熱狂する態度は自らの意志というよりは強迫観念から生まれる態度であり「ふとわれにかえる瞬間が本当の自分なのでは?」と考え、現代の個人が抱える虚無感に迫ります。
アイデンティティを「本来の姿(われ)」と訳した二人。目まぐるしく移り変わる社会において、私たちは「仮の姿」を「本来の姿」と勘違いしているのかもしれない、そう感じるかもしれません。しかし、そもそも「本来の姿」などあるのでしょうか?今の自分に固執するのではなく、自分や物事を柔軟に捉え「違った自分」に出会えることを楽しみたいと思います。
gallery fu 鈴木智惠


VIKIステートメント

本展で発表される「Portrait prey」シリーズは、肖像の餌食という意味です。さまざまなイメージや言葉が乱用される現代において、メディアの真偽や権利の曖昧さ、アートとメディアの区別が難しい時代です。全てが何らかの形でメディアをつうじて見られており、オリジナルの本質について考える必要があるのではないかと考えました。インターネットやAIが主流の現代において、オリジナルの定義は何でしょうか?

アンディ・ウォーホルの作品は多くのアーティストによってオマージュやパロディ、ときには盗用されてきました。アートフェアではアンディ・ウォーホルに触発された作品が数多く見られます。彼は憧れの的であり、メディアの餌食にされている存在です。わたし自身もアンディ・ウォーホルになれないだろうか?と考えました。わたしは他の作家の作品を参照するとき、その作家と結びついて遺伝子を共有し、作品を生み出す感覚を得ます。作品はわたしにとって子供のような存在です。それがAIを通じて容易に実現できると考えています。例えば、「アンディ・ウォーホルさん、わたしの肖像をマリリン・モンローにしてください」と呪文を唱えることができ、数秒後に現れる作品はアンディ・ウォーホルとのコラボレーション、オマージュ作品として発表されます。その肖像は再びメディアの餌食となります。しかし、生成された作品がウォーホルの作品なのか、私の作品なのか、それとも別の何かなのか、宙吊りになった作品の権利は曖昧であり、メディアの向こうにいる人々には分からないのです。

近年、インターネット上で誰でも呪文を唱え、AIに画像を自動生成させることができる時代になりました。この呪文を「プロント」といい、AIに生成してほしい画像内容を指示するテキストです。AIはアーティストの右腕となり、作品に処理を加えます。アーティストは右腕に指示を出す司令塔となります。これらの技術が可能な現代において、オリジナル、すなわちアイデンティティとは、私たちの歴史から構築された複合体であると言えます。しかしながら、AIの自動生成はオリジナルの消失、あるいは融合を促した側面もあるかもしれません。特定の個人ではなく、フリー素材であり、どこにでもいる存在となる可能性があります。プロントは他者が私と偽装結婚するような魔法の呪文なのです。

顔を晒して社会に存在するわたしたちは、日々、顔に向けられる自己意識や刺すような視線にさらされています。常に自身を見つめてくる姿の見えない第3者の存在をわたしは意識せざるを得ません。
VIKI

VIKI/ヴィキ
2022年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
日常的で記憶に残らないような時間や消費行動を「時間のささくれ」とし、情報社会に生きる自身と他者との関わりや「個」としての在り方など、時間に纏わる言語を考察しながら制作をしている。
日本全国からレシートを集め、2015年からアイロンとレシートを使ったライブアートパフォーマンスを開始。熱を与えると変色する感熱紙の特徴を生かし、熱でドローイングする。ほか、壁画、油画、インスタレーション、グラフィックデザインなど、活動は多岐にわたる。

Exhibition
2023年 gallery fu10周年記念企画展「LOVE+art+PEACE」gallery fu/神奈川
2023年「tagboat Art Fair2023」東京都立産業貿易センター /東京
2023年「Second skin」ギャラリー自由が丘/東京
2022年「特別展|gift from….to….」gallery fu/神奈川
2022年「VIKI×坂間真実|Xenos」gallery fu/神奈川
2022年「The Prize Show!~What’s 藝大?~」藝大アートプラザ/東京
2022年「Art Fair GINZA tagboat×MITSUKOSHI」銀座三越/東京
2022年「愛と狂気のマーケット」ラフォーレ原宿/東京
2022年 個展「Face of Face」gallery fu/神奈川
2022年「エピソードONE 次世代アーティスト16人展vol.1」阪急うめだ本店/大阪
2022年「Unconsious Mirror」ギャラリー自由が丘/東京
2022年「アートフェア東京2022」東京国際フォーラム/東京
2022年「Tagboat Art Fair2022」東京都立産業貿易センター浜松町館/東京
2022年「TAGBOAT ART SHOW × 阪急 MEN’S TOKYO」tagboat ギャラリー/東京
2022年「第70回 東京藝大卒業・修了作品展」東京都美術館/東京
2021年 個展「change the scape」CROSS OVER神楽坂-cafe&gallery-/東京
2021年 グループ展「特別展|gift from….. to…..」gallery fu/神奈川
2021年「A56 SHIBUYA STYLE vol.15」渋谷オルタナティブスペース/東京
2021年 個展「この人、さがしてます。」ギャラリー自由が丘/東京
2021年「TAGBOAT ART FAIR」東京都立産業貿易センター浜松町館/東京
2021年 個展「#君って、、、」TAKU SOMETANI GALLERY/東京
2020年「TAGBOAT ART SHOW」東京都立産業貿易センター浜松町館/東京
2020年 グループ展「特別展|gift from….. to…..」gallery fu/神奈川
2020年「100人10」馬喰町ログズビル/東京
2020年 個展「Narrative Fragments もうひとつのあなたと、わたしと、せかい」ギャラリー自由が丘/東京
2020年「第14回藝大アートプラザ大賞展」準大賞受賞 藝大アートプラザ/東京
2020年「三菱商事アート・ゲート・プログラム 2020年度奨学金制度奨学生作品展」MC FOREST・ROUTE CAFE AND THINGS/東京
2020年「ターナーアワード2019」入選 ターナーギャラリー/東京

​LivePaint
2022年「LAFORET GRAND BAZAR 2022 SUMMER」ラフォーレ原宿/東京
2022年「愛と狂気のマーケット」ラフォーレ原宿/東京
2022年「tagboat Art Fair 2022」東京都立産業貿易センター/東京
2021年「秋の住宅祭」町田森野住宅公園/東京
2021年「TAGBOAT ART FAIR vo.37」東京都立産業貿易センター/東京
2020年「TAGBOAT ART SHOW」東京都立産業貿易センター/東京
2019年「六本木アートナイト2019」六本木ヒルズウエストウォーク2F/東京
2019年「上大岡・京急百貨店」上大岡・京急百貨店6F/神奈川

Other
2019年「片道列車」メインヴィジュアル、他 音楽ユニット「かなわない恋」

Media
2022年 読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」
2022年 日本テレビ「ヒルナンデス!」
2022年 フジテレビ 「Live News α」
2021年 日本テレビ「ヒルナンデス!」
2021年 TOKYO MXテレビ「バラいろダンディ」
2021年 日本テレビ「地球にいいこと学ぼうSP」
2020年「凄技クラフトマン」
2020年「FA-magazinevo.57」
2020年 読売テレビ「もったいないオバケちゃん」
2020年 日本テレビ「ヒルナンデス!」
2020年 日本テレビ「スゴ動画超人GP」
2019年 日本テレビ「ヒルナンデス!」
2019年 日本テレビ「世界まる見え!世界特捜部」

VIKI公式オンラインショップ開設、他、バンド、舞台等のロゴ、フライヤー、CDジャケットデザインetc.
その他、ファッションショー、音楽イベント多数出演

VIKI公式オンラインショップはこちらVIKI
websiteはこちらViablekids.


坂間真実ステートメント

「われ、われをわすれる/われ、われにかえる」

私たちは、自分をとりまく社会や環境に少なからず影響されている。
影響される対象は個人によって違う。
それはアイドルかもしれないし、2.5 次元の存在かもしれないし、ヴァーチャルの住人かもしれないし、スポーツ選手かもしれないし、オリンピックやワールドカップのような大会かもしれないし、とにかくいろいろな偶像や現象に対して熱狂し、情熱を傾けている。
そこに、「熱狂しなければいけない」「応援しなければいけない」「熱狂する対象には身も心も、お金も捧げなければいけない」という強迫的な観念はないだろうか。
何かに対して盛り上がっている自分は本当の自分なのだろうか。
「頑張れ」と祈る自分は何に対して祈りを捧げているのだろうか。
熱狂から離れ、ふと我に返ってしまう状態こそが、本当の自分なのではないか。
熱狂に身を委ねることの怖さと、熱狂の中にいる喜び。
しかし、熱狂から離れてふと我に返ると、とてつもなく虚しさが襲ってくる。
侘しさにも似た虚無感。
アイデンティティとは、我に返った時の「われ」のことなのではないだろうか。
映像では、太宰治の小説「トカトントン」を引用し、小説で表現された敗戦後の虚無感を、現代の個人が抱える自己への虚無感に置き換える。
坂間真実

坂間真実/SAKAMA Mami
2007年 東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修了

個展
2021年「ビデオ・レター」gallery fu/神奈川
2014年「comet」gallery fu/神奈川

グループ展
2023年「機械じかけのコウノトリはゲノムの海を渡る」gallery fu/神奈川
2022年「VIKI×坂間真実|Xenos」gallery fu /神奈川
2022年「MOTHER 機械じかけのコウノトリ」gallery fu/神奈川
2021年「MOTHER 私たちはどこからどこから来たのですか?私たちは誰ですか?私達はどこに行くの?」gallery fu/神奈川
2020年「STILL LIFE/印象、寝室」SICF21・スパイラルホール/東京
2019年「ART BOOK/ART GOODS」BankARTStation/神奈川
2019年「SICF20」スパイラルホール/東京
2019年「mother 平成の聖母子像」gallery fu/神奈川

受賞歴
2013年 第87回装苑賞 入選
2012年 第15回岡本太郎現代芸術賞 特別賞

websiteはこちらSAKAMA MAMI ART WORKS