6/5-6/17▷荒井郁美|ペインティング・パレット

6月5日(火)~6月17日(日)
12:00~20:00 日曜日18:00まで 入場無料 月曜日休廊

パレットを描くためのパレットを描く。

gallery fuでは、6月5日(火)から6月17日(日)まで、荒井郁美の展覧会「ペインティング・パレット」を開催いたします。
少壮気鋭の美術家、荒井郁美は、日常のなかでは見過ごしている事象に対して深い眼差しをむけ、そこにある違和感(しっくりしない感じ)をさまざまな角度から捉え、ていねいに作品化していきます。本展覧会の「ペインティング・パレット」は、絵を描くための道具としてのパレットを絵のモチーフとしているのですが、それらはすべて、その絵を描く際に使ったパレットを描いた作品となっています。はたして、「絵画は〈すべてがすでに示されている〉という〈形〉を持っていて、その〈形〉が活きる構造を探している」という荒井郁美が描く「ペインティング・パレット」は、美術が美術でなければならない意味を問いかけます。

展覧会によせて
このたび、gallery fuにて新作「パレット」シリーズを展示致します。

それぞれの絵のモチーフとなっているのは、まさにその絵を描く際に使った画材道具としてのパレットです。

着想の段階では、「描かれる内容と描く行為が干渉し合うこと」や「作用と反作用」という観点から作品を考えました。「作用と反作用」とは、「描けば描くほど整ってゆく作品」と「描けば描くほど乱れてゆくパレット」のことです。正反対の方向に向かうふたつの状態が、ひとつの行為(描き)によって発生しているという構造です。実際の制作では、さまざまな気づきや具体的な制約が段階的に見えてくるでしょう。その都度対応し描き方を考えるという方法で、表現を目指すことにしました。

また、このシリーズは、すべての痕跡が表現であると同時に手掛かりとなって、絵画そのものだけで作品が成立するのではないかという期待がありました。描かれているのが本当に制作に使ったパレットだということを証明するためだけに、たとえば制作過程を記録した映像を流したり、実物のパレットを見せたりする必要はないということです。絵での表現を目指すにあたり、絵画ならではのすべてが既に示されている「形」への憧れがありました。

ご高覧いただければ幸いです。

また、制作と並行して書きためていた文章と回文をまとめた本「中身の見えない透明な器」をつくりました。今回の展示内容とは関係ありませんが、会場にて販売いたします。(荒井郁美)

荒井郁美/arai fumi 
1991年 長野県生まれ
2014年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2016年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修士課程修了
主な展示|個展
2014年「第62回 東京藝術大学卒業・修了作品展」東京都美術館、東京藝術大学(東京)
2015年「くまの古道美術展 in 紀伊長島 2015|アート、海の街で」紀北町紀伊長島区松本|風の広場(三重)
2016年「第64回 東京藝術大学卒業・修了作品展」東京藝術大学(東京)
2018年「個展|ペインティング・パレット」gallery fu(神奈川・横浜)

荒井郁美website→ http://www.araifumi.com/